News&Blog

小林剥ぎ板店   信州上松にルイ・ヴィトン

2017年03月03日

木曽ヒノキの集積地、信州上松にルイヴィトンのような建物があります。

自前の板で外装した「小林剥ぎ板店」のショールームです。

網代・網代天井

 

木曽で育ったヒノキ、サワラ、スギ等を刃物を使わずに手で1枚が2枚、2枚が4枚と何度も何度も剥いで薄い板(剥ぎ板)を作ります。

「剥ぎ板」は「はぎいた」ではなく「へぎいた」と言います。 

天井や建具に使う仕上げ建材としては0.6mmほどの厚さに、

屋根葺きの建材としては2mmから10mmぐらいの厚さに、それぞれの用途に合わせて作ります。

 

役目を待つ乾燥した材料です

割れ目を入れて あとは手で剥いでいきます

 

屋根葺き建材の場合、板そのものを屋根材として使う場合 と

          瓦の下葺きとして使う場合とがあります。

 

下葺きは今やルーフィングに取って替わっていますが、昔は瓦土や木板が雨の侵入を防いでいたのです。

数十年前までは瓦土にカワラ、重いはずです。

今ではルーフィングに瓦桟、すっかり軽くなりました。

 

〇「剥ぎ板の屋根」で身近に目にするのは金閣寺や銀閣寺等多くの文化材の杮葺き(こけらぶき)です。

見事な、気が遠くなるような職人技です。

 

屋根には年輪に直角に剥いだ「柾目の剥ぎ板」を使うそうで、 仕上げ材には年輪に平行な「板目の剥ぎ板」を使います

使えるものはサワラやスギの樹齢200年以上、目の細かく整ったものに限られており、年々材料を手当てすることも難しくなっています。

確かに細い目のつまったきれいな年輪です

 

刃物でももちろん薄板は出来ますが 表面は平滑になります。

それに比べてへぎ板の表面はデコボコで、その隙間が軒裏の通気を促し屋根の耐久性を向上させています。

全てのことが理に適ってこそ 今に受け継がれている・・・ということでしょうね。